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2012年 06月 16日
曽我蕭白の絵はすごい。
その衝撃が冷めないうちに、直感的な蕭白感ではあるが 書いておくことにした。 これまでいくつもの水墨画を見てきたが、なにか定式化された画法、 画題になるほどとは思うが、いまひとつ引き込まれない感覚を持っていた。 絵を見た時の感じ方は自分の感性とシンクロするかどうかがあるようで、 どんな名画といわれても自分の感性に響かない絵は自分にとっては意味がない。 水墨画の中では長谷川等伯の松林図屏風はすごいと思ってきたが、 蕭白は絵の世界を広げてくれた。 まずは、水墨画は筆の線で描いているというあたりまえの事実を 再認識をしたこと。 同じ描くといっても、油絵は塗る行為であり、水墨画は筆の線で描く行為である。 これが表現のスピード感に決定的な差異をもたらしている。 (塗る場合、水墨画はうす墨で塗る程度である) その極地が、商山四皓図屏風だ。 ちなみに私にはこの絵が一番好きになった。そのスピード感はまさに 筆で描くことによってのみ得られるものであり、他の画法ではなしえない表現だろう。 商山四皓図屏風はまさに筆致のスピードの絵だ。 商山四皓図屏風 ![]() ![]() 楼閣山水図屏風に描かれた岩や山の形は異形であり、この絵全体に 奇想感が漂っていて印象に残った絵の一つである。 水墨画では白は、下地の和紙の色であり、筆で描いた残余として表現される。 そのため時として白を描くことはとても難しいことのように思える。 例えば楼閣山水図屏風で滝が描かれているが、岩に貼ったようで 不自然に見える。それもそのはずで、岩を描いた残りとして白で流れ落ちる滝を 表現するのだから難しいはずである。 (ちなみに千住博氏の滝の絵は、不透明の白で描いているので、 水墨画に描かれた滝とは全く正反対の技法である。) そのなかで虎渓三笑図屏風の滝の絵は、周りが薄墨なので自然に 描かれているように思えた。 筆で描いた残余として、白を描くという視点で他の絵も見ていくと 色々面白いことに気づく。 風仙図屏風に描かれた襟元の白い模様は、周りの薄墨の残余が模様となっている。 長谷川等伯の龍虎図屏風の虎と龍の間の白は、描かれた白である。 筆致の残余として白を描くことが水墨画にとっての生命線なのではないか。 よく日本独特の間というようなことをいうが、私にとっては 白を描くといった方がしっくりくる。 庭園研究者の稲垣敏郎氏は白砂を主体とした石庭のような枯山水は、 寝殿造りの前庭が独立したものだと述べられているが、意識としては白砂を キャンバスとみたて、石を置くことにより白砂で白を描くという意識が あったのではないかと思えてくる。 こんな風に想像は飛躍するが、ものの見え方が広がっていくのが楽しい 昨今ホテルや旅館に石を設えている所も多いが、何か違和感を覚えるのは 石を置いただけで、周りの空白を描くという意識がないからなのかもしれない。 楼閣山水図屏風 ![]() 虎渓三笑図屏風 ![]()
by mabg-sky
| 2012-06-16 15:48
| 美術
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