杜牧に江南春という漢詩がある。
漢詩には興味も教養もなかったのだが、20年近く前に初めて中国を旅した時に、
たまたま持っていった唐詩選の旅という本のなかにあった詩である。
水、緑、湿気た空気等、当時の江南の風物と溶け合いとても印象に残った。
おととし再び上海から江南を旅したが、沿道の風景はすっかり変わっていた。
当時はまだ経済発展の前で、まだまだのんびりとしていた。
インターネットもなく、日本で組んでいった旅程が中国内で
うまく実行されず、再度旅先で飛行機・ホテル等の手配を自らし直したり、
興州に行った帰りには、乗り合いバスがパンクしてしまい、立ち往生したこともあった。
上海から杭州に向かう列車の速度は本当に遅く、中で筆が震えずにスッケチが
出来るほどであった。下のスッケッチはそんな車中で描いたものである。
千里鶯啼緑映紅
水邨山郭酒旗風
南朝四百八十寺
多少楼台煙雨中
千里うぐいす鳴いて、みどり紅に映ず。
すいそん山かく酒旗の風
南朝しひゃく八十寺
多少のろうだい煙雨のうち

江南春